メディ・カフェ@関西HP

TENOHASI炊き出し体験レポート

先週の土曜日、NPO団体TENOHASIの炊き出しに参加してきました。TENOHASIは、来月第7回メディ・カフェ@関西「コーラとホームレス」http://kokucheese.com/event/index/116552/
にお招きする、森川すいめいさんが代表をされている団体です。
http://tenohasi.org/tenohasi.html

路上生活者を支援する団体は、他にもたくさんありますが、TENOHASIはちょっと違う…と小耳にはさみ、これは、行ってみなければなりません!と家族の了解を得て、日帰り弾丸TENOHASIボランティアぼっちツアー開催となりました。

連休の一日目、朝7時30分に京都の家を出て、8時すぎの新幹線にのり、11時前に東京駅着。帰りの高速バスの乗り場を確認したり色々して、そこから地下鉄をのりつぎ、12時前に文京区の某所に到着。
炊き出し用の調理場は、ご厚意で私有地をお貸しいただいているため、場所は非公開ですが、土の香りのする花壇や畑もあるお庭で、東京の真ん中に、田舎の親戚の家があるような気分です。

初参加の私は、事前に担当者の方に申込みをした際、集合時間の11時には間に合わないけれども、途中参加でもいいですかと訪ねたところ、ボランティアは何時からでも何時まででも、出来る範囲で結構ですとのことでしたので、12時前頃の到着になったのですが、そこでは、おおよそ30人ほどの年齢も職業も様々なボランティアの人たちが、一心不乱に野菜を切ったり皮をむく作業をしていました。
私もすぐに一つのテーブルに混ぜてもらい、さっそく、ニンジンを切りながら「どこからですか?」「京都から来ました〜」「ええ??」「これだけに??」「京都は台風大変でしたね」と手は止めずにおしゃべりがはずみ、和気あいあいとした雰囲気にすっかりなじんでしまいました。

大量のニンジンの後には、大量の玉葱で涙がちょちょ切れます。みんなで、「うあっ来た来た!」と涙をにじませながら格闘し、他にも白菜や大根、白ネギ、ジャガイモを堪能するまで切らせていただきました。
途中で、自分たちが切った野菜を少し借りてお昼の賄い。
炊き出しにも使う発泡スチロールの容器に、炊きたてのご飯と野菜たっぷりの焼きそばを載せていただきます。
公園での炊き出しのメニューは、ごはんと、路上生活者の皆さんに、普段はとりにくい野菜をいっぱい食べてもらいたい!の願いを込めて、野菜たっぷりのスープ。大量の野菜は寄付していただいたものです。
次々に届けられる野菜を早く煮えるように、小さく切って行くのも大変ですが、300食分のお米を洗って炊いて蒸らして…というのも力のいる作業です。

賄いの他にも、休憩やお茶を飲んだりお菓子を食べたりもあって、休憩も自由にとれ、自分のペースで参加できます。
野菜を切り終えたあとは、プロの調理師の方が調理をしたり、配食の支度ができるまで、私たちは、ゆっくりお茶を飲んだり、ドングリに修正ペンで可愛い絵を描いたりして過ごしました。社会福祉生活保護制度についてやホームレス問題についてなどの話もでます。
「いつも、キャンプしてるみたいなもんだよ」と常連の参加者さん。庭には、季節の花々も風に揺れていました。


そうして、心持ち日差しが傾いた頃、出来たての野菜スープで作ったラーメン…このラーメンがまた、たくさんの種類の野菜と鶏肉を大きな鍋で炊くだけでも良い出汁がでるし、そこにプロの調理人が味付けをしてくださるので、むちゃくちゃ美味しかったです…を食べたら、炊き出し会場まで料理を運ぶ準備にとりかかります。
ご飯と、野菜と鶏肉入りのしょうゆ味のスープ300食を炊き出し会場に運ぶ為に、それぞれ大きなクーラーボックスにうつしてガムテープで目止めし、トラックで運びます。

この日は、台風も通り過ぎたさわやかな秋晴れで、暑くなく寒くなく素晴らしいお天気でしたが、雨の日は庭にテントを張り、各自、雨合羽を着ての作業になるそうです。配布する料理も、汁ものは配れないので、作ったスープから汁を濾して具だけにして、ご飯と一緒に容器に詰めてお弁当にして一人ずつ渡すこともあったそうです。
荷物をトラックに積み込むと、配食にも参加するボランティアは、炊き出し会場である東池袋中央公園まで各自バスなどで移動します。

私たちが到着すると、既にたくさんの方が列を作って待ってくださっていました。
男女比では、断然男性が多いのですが、女性もわずかながらいらっしゃいました。年齢は高齢の方から、20代のような若い人まで幅広く感じました。
配食を行う東池袋中央公園では、午後5時より、衣類の配布や医療、福祉相談、鍼灸マッサージ、甘いコーヒーや夏はポカリっぽいものを飲みながら交流する場も作られています。
http://tenohasi.org/action/action1.html
この日の医療相談には、急に冷え込んだ為か、風邪をひいたり体調を崩した人が多かったそうです。

午後7時ちょうどに配食が始まると、ご飯をもったどんぶりを渡す係りの5人で10食ずつ、「こんばんわ」「お待たせしました」と声をかけながら渡します。どんぶりを受け取った人は、次にスープの係りのところで、ごはんの上に具たっぷりのスープをかけてもらいます。
配食のボランティアも、交代で食事を頂きます。
そういえば、調理をしていた時、お話を伺った参加者の人が、炊き出しに参加する理由について、「炊き出しに並ぶ人たちは様々な事情で社会から疎外された人たちで、ボランティアは、学生も医療班も炊き出し班も、社会に受け入れられている側で、その立場の違う者同士が、出会って交流する。それが面白いんだよな」とこたえてくださったのを思い出しました。
遅めの秋が到来して、寒さをはらんだビル風に身を縮めながら、その場にいる皆が一緒に同じ釜の飯と同じ鍋のスープを食べる。
「東京一美味しい炊き出し」の秘訣は、そういうところにもあるのかもしれません。
用意された食事は直ぐになくなりましたが、この日は、いつもより並んだ人が少なかったそうです。こういう日は、他にも炊き出しが行われているのかも…ということです。その分、希望者には、おかわりもしていただけたようなので、よかったと思います。
午後9時頃、300食分の配食と炊き出し会場の掃除片づけを終えて、簡単な終礼をする頃には更に風も強まり、風にまかれた木の葉のように、お世話になった方々への挨拶もままならぬまま、散り散りの散会となりました。
担当の清野さんはじめ、ボランティア炊き出し班の皆さん、ありがとうございました。

私は、その後、明日は旅行に行くと言う友人宅に押し入って赤ちゃんを抱っこして過ごした後、東京駅から11時30分発の高速バスに乗車。朝からよく働いたお陰で、初めての夜行高速バスの中でも熟睡でき、無事に朝6時前に京都に帰着しました。
みなさんも、こんな弾丸ツアーどうでしょうか?昼も夜も賄い付き、交通費しかかかりませんよ?
TENOHASIでは、月に二回(第二、第四土曜日)の炊き出しのほか、毎週水曜日の夜回り、平日には、付き添いなどの日常生活支援など、たくさんのボランティアを募集しています。
http://tenohasi.org/volunteer5.html
お近くの方も、遠くの方も、是非ご参加ください。
次回は是非、息子を連れて参加したいと思います。