メディ・カフェ@関西HP

CPAO5周年と「まずはごはん」

大変大変ご無沙汰しております。

メディ・カフェ@関西は、メンバー各自、育児や仕事や介護や看取りなどで忙しく、長い間、開店休業状態でしたが、ようやく通常営業出来るかな?状態になりましたので、ぼちぼちブログの更新から、再開したいと思います。

この2年間、メディ・カフェ後も繋がりつづけていただいている団体や人、関わりの深い団体の活動についてなど紹介させていただきます。

 

CPAO5周年と「まずはごはん」

 

4年前、第8回メディ・カフェ@関西 「きっとあなたも誰かの“隣る人”~映画『隣る人』を通して考える、社会で子どもを育てると言うこと~」

medicafewest.hatenablog.com

に登壇いただいた、徳丸ゆき子さんが代表をされている認定NPO法人CPAO

初めての本、「まずはごはん~ささえあう社会への、はじめの第一歩~」が、出版されました。

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cpao0524.org

美味しそうなごちそうが並んだテーブルの真ん中に、どーんと大きな羽釜。釜のなかで、炊きたてあつあつのごはんが光っています。まさに「同じ釜の飯食う」図の表紙にわくわくしながらページをひらくと、手触り良く、開きやすい紙質にうっとり。子ども達に大人気メニューのレシピは、みんなでわいわい調理しながらでも見やすいレイアウトになっています。ひとつひとつ、子ども達と一緒に考えて作られた本なのがよくわかります。そして内容も、料理のレシピだけではなく、5年間の経験と知恵と情報、活動を支えるエネルギーの源についてなど、惜しむことなく、まるで、大きなお釜をどんと置いて「みんなで食べよ!」と笑顔でふるまっているようです。

以前から、「本をだしませんか」という話はあったけれど、出版社からの「可哀そうな子どものこと世の中の多くの人に知ってもらうために、可哀そうな子どもの話を書いてほしい」というような要望には答えられない。「“可哀そうな子ども”なんて、CPAOにいません、いたとしても書けません。」と断ってきたそうです。

その一方で、「自分も何かしたいけれど、何からどうしていいのかわからない。」「あんなことやこんなことはどうしたらいいんだろう」と戸惑っている人に、最初の一歩を踏み出す助けになるような、5年間の試行錯誤を具体的に紹介する、本を出したいと思い、子ども達に大人気のメニューのレシピだけじゃなく、大人数調理のコツや、食材の管理方法などのノウハウや、CPAOを支える心ある人々と繋がり、地道に続けることの大切さが、沢山の綺麗な写真や子ども達の絵とともに、ぎっしり詰まった「まずはごはん」~ささえあう社会への、はじめの第一歩~」が完成したのでした。

 

じつはこの「まずはごはん」には、大変光栄なことに、メディ・カフェ@関西山根も寄稿させていただいております。 

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本文より引用

子ども達自身が持っている生きる力の芽は、お腹いっぱい食べて、ゆっくり過ごせる場所があり、安心して甘えられるおとながいつもそばにいれば、自然に育ってくるのだとCPAOの活動を見ていて知りました。おとなに出来ることは、環境を整え、焦らず、押し付けず、子どもを信じて待つことですが、おとなの側にも、相当な余裕と持続できる体力が必要です。

CPAOが子ども達にとって、そんな存在であり続けられるように、少しでもお手伝いできればと思っています。

「これから何かを始めたいとおもっている人へ、そのきっかけになるといようなメッセージを」ということで、もっといっぱい書きたいことがあったのですが、文章下手な上に字数制限もあり書ききれなかったので、少し補足したいと思います。CPAOでは、ピアノ部や料理部、スイーツ部、釣り部などのくらぶ活動や、里山での野遊びやお泊り会など、子ども達からの要望にこたえて始まった楽しい活動も活発です。たとえば、CPAOピアノ部設立のきっかけは、ひとりの女の子の「ピアノが習いたい」という言葉で、徳丸さんの呼びかけに、厚意によってピアノが寄贈され、ボランティアで講師も引き受けてくださる人もいて、ピアノ部の活動が始まりました。
CPAO設立5周年記念イベントで、素晴らしいピアノや、新しく始めたギターの演奏を披露してくれた女子中学生がピアノ部員第一号でした。他の部員の子ども達も、彼女のピアノに合わせて可愛い声で合唱。何日も一生懸命練習して、晴れの日を迎えた子ども達の顔は緊張しながら誇らしげで、見守るおとなたちの顔も涙腺もほころび、会場は温かい拍手に包まれました。 cpao0524.org料理部も、スイーツ部も、釣り部も、子ども達の希望からはじまり、合宿や日々のごはん会や、お祝い事のためのごちそうや誕生日のケーキ作りにと大活躍なのだそうです。大人が子ども達に対して、自立のために「自分で料理が出来るように」と教えようとしなくても、環境があって興味を持てば、自分から「やりたい」と思うものだと思います。しかし、周囲の大人に子どもと向き合う余裕がなかったり、貧困など何らかの理由で、子どもの気力や意欲が阻害されていたり、家庭や学校で孤立状態にあって大人への信頼心も失っているなど、様々な理由から、やりたいと思っていても言えなかったり、言っても無駄だと諦めていたり、様々な状況の中で子ども達も疲れ果てて、気力も失っているのかもいるのかもしれません。そんな子ども達に対して大人がするべきことは、子どもの無気力を責めたり、無理に何かさせようとすることではなく、親の責任を言い募るのでもなく、お腹をすかせているならお腹いっぱい食べて、家や学校では気が休まらないなら、ゆっくり休める場所をつくり、親や他の家族にも余裕がないなら、他の誰かが受け止め、子ども達の中で眠っている意欲の芽が育ってくるのを信じて待つことではないでしょうか。www.facebook.↑の記事のなかにある

「魚をあげるんじゃなく、魚のとり方を教える。」
対人支援の基本の基として教わりましたが、教える必要なく、環境だけ整えていけばいいんですね。

という言葉に、心の底から共感します。子どもだけでなく、その親や家族に対しても、支援者が「魚のとり方を教える」というのではなく、まずはおなかいっぱい「魚」を食べて、休んで、生きる気力や意欲を取り戻し、自分から「魚をとろう」「なにかをやりたい」と思える環境を整える、「やりたい」ということには、どんなことでも出来る限り対応するというCPAOの姿勢は、本当に素晴らしいと思います。「環境を整える」というのは、単に道具を揃えたり、場所を作ると言うだけでなく、「なにかをやりたい」と思えるようになるまで、焦らず待ち続けられる体力を維持することでもあります。決まった期限があったり、目に見える結果が出せなければ続けていけない活動では、子ども達に対しても、ゆったりと待ち続けることは難しく、ついつい焦って、善意を押し付けてしまったり、何も出来なかったという不全感を残すこともあるかもしれません。CPAOが、これからも、子ども達の育ちを見守り、困難な状況にある親子や家族を支え続けて行くためには、まず、十分な資金が必要です。大阪市から認められ認定NPOになったことですし、あれやこれや口出ししないで団体を信じて投じる寄付が沢山集まれば、盤石ですね。…などと言いながら私個人に出来ることは微々たるものですが、こちらから、毎月寄付させていただいています。ほんとにほんとに「微々」ですが、「微々」も積もれば…と思いながら、これからも続けていくつもりです。cpao0524.org 親子が安心して過ごせる居場所作りのため、様々な活動をつづけ、広げているCPAO(子どもの貧困アクショングループ)は、2010年西区二児放置死事件、2013年北区母子変死事件というふたつの象徴的なふたつの事件をうけて、「悲劇を繰り返したくない」と子ども支援関係者を中心に立ちあげられました。

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事件があった天神橋商店街などでのアウトリーチ、シングルマザー100人への聞き取り調査を行い、結果をまとめて発表するなどの啓発活動とともに、全国からも寄せられるSOSに応じて、週3回のごはん会など食料援助や、必要な支援を受けられるよう行政や他のNPO団体と繋げたり、拠点でのごはん会やお泊り会、里山合宿で親子が安心してのんびり過ごせる場所や時間をつくり、政策提言も続けています。

www.sankei.com

しかし、残念ながら、今も悲劇はなくなりません。幼い子どもが犠牲になる事件は繰り返されています。悲惨な事件を食い止めるために、私たちは何が出来るのかを引き続き考えていきたいとおもいます。ー続くー(文責:山根)