メディ・カフェ@関西HP

【終了しました】第6回メディ・カフェ@関西「尋常ならざるセクシャルトークセッション〜「障害者の性」問題についてケーススタディを通して考える〜」

梅雨入り間もない先週6月2日、京都市内のレンタルスペース「アンテナカフェ丸太町」にて、
第6回メディ・カフェ@関西「尋常ならざるセクシャルトークセッション〜「障害者の性」問題をケーススタディを通して考える〜」を
一般社団法人ホワイトハンズ代表坂爪真吾さんをお招きして開催しました

すっかりご報告がおそくなってしまい、すみません。こちらが遅れている間に、参加してくださった皆様のほうが、いち早くブログなどに感想を下さり、感激しています。
後ほど、紹介させていただきます。

 ホワイトハンズ代表、坂爪真吾さん。
テレ朝ch2「ニュースの深層」の撮影もありました。当日のメディ・カフェの様子は、坂爪真吾さん出演の番組で放送されるそうです!詳細は最後にお知らせします。


今回のメディ・カフェは、実際にあった事例を基につくった5つのケースに沿って、「自分が当事者ならば、どうするか?」ということを話し合うワークショップに挑戦しました。
社団法人ホワイトハンズ代表坂爪真吾さんは、当日朝、夜行バスにて京都入りされたのですが、疲れも見せない、とても熱のこもった進行と解説で、参加者もケースごとにそれぞれ短い時間でしたが、熱く深く議論できたのではないでしょうか。

当日の様子については、前回に引き続き共催していただいたNPO法人パブリック・プレスのサイトにて掲載されています。

ケーススタディの内容と解説について、以下引用させていただきます

1、 知的障害児のバス通学
知的障害のK君(16歳男児)は通学時に市バスを使う。隣に若い女性が座ると興味を示すようになり、ある日女子高生の髪の毛を引っ張ってしまった。このことがインターネット上で騒がれ、様々な意見のコメントがついた。自分がK君の両親なら、K君の通学をスムーズにするためにどんなサポートを考える?

参加者からの意見
ガイドヘルパー(外出支援のヘルパー)を頼んで、通学に付き添ってもらう。
・どのバスにK君が乗っているかを非公式にアナウンスしておく。
・K君と親しい学生の友達に、通学をサポートしてもらう。

坂爪氏のコメント
こういう問題を考える際、本人に焦点を当てるとうまくいかない場合が多い。周囲の人たちや環境に力を貸してもらった方がうまくいく。K君の場合は、それ以前には彼を温かく見守る雰囲気があったのだから、その人たちの力を借りるのも一つ。ガイドヘルパーも考えられる。周りのサポートの仕方を変えていくことで、解決案を考えられる事例。

2、 頚椎損傷の男性が一人でアダルトコンテンツを見るには?
この春から一人暮らしを始めたTさん(29歳男性、頚椎損傷)は、親元から離れたこともあり、インターネット上のアダルトコンテンツを視聴したいと思っている。自分がTさんなら、気まずい思いや恥ずかしい思いをせず、介助者に迷惑をかけないで視聴するため、どういう工夫をする?

参加者からの意見
・パソコンの入力支援ソフトの購入。
・本人にはためらいがあるようだが、男性ヘルパーに相談することを考える(本をめくってもらう、アダルトビデオを借りてもらう、など)。

坂爪氏のコメント
最近はweb環境周辺機材が充実しているため、音声認識のあるiPadスマートフォン、パソコンのソフトを考えるのは一つ。CS放送のアダルトコンテンツ専門チャンネルの契約を考えるのも手。ただ、この場合は本人の環境に焦点を当てていることになる。それよりも、男性ヘルパーの助けを借りるのが現実的。人間関係をライフラインとして考えることが大事。

グループのテーブルからおもわず「むずかしいーー」の声も


3、 脳卒中患者の性生活
脳卒中による右半身麻痺のあるNさん(59歳男性)は、後遺症による精神的疲労や勃起力低下、性的自信の喪失などから、妻との性生活がうまくいっていない。自分がNさんの担当ケアマネジャーだったとして相談を受けたら、なんとアドバイスする?

参加者からの意見
・話してくれたことに感謝を伝え、親身になって話を聞く。その上で、性行為が可能かどうかなど、主治医に相談する。
・本来は医師の方から性生活もどうかと聞いてあげるべきだが、多くの医師は関心がない。

坂爪氏のコメント
共感的理解を示し、親身に話を聞くことでかなり本人は救われる部分があると思う。また妻がどう思っているかが今回は出てきていないが、配慮も必要では。筋ジストロフィーの患者からもセックスレスの相談を受けることがある。健常者と同じように障害者も性の悩みを持っているが、そこには日が当たらないというギャップがある。

4、 父親から性的虐待を受ける知的障害
知的障害のあるKさん(15歳、女児)が最近、学校で男性に頼みごとをする際に、乳房を露出して性的に迫ることがある。担任教師が理由を探ると、父親の性的虐待が背景にあることが分かってきた。自分が担任なら、彼女をどうサポートする?

参加者からの意見
・父親にKさんの状況を手紙や面談などで「相談」。「虐待だ」と言って責めると、Kさんへの行為が一層ひどくなるかもしれないため、父親の気付きを促す。

坂爪氏のコメント
虐待だと言って詰問するのはリスクが高いため、「気付き」促すのは一つの手。母親も気づいていないことはないと思うため、そこに何らかの問題のある可能性も考えられる。

5、 性風俗・AV出演のあっせんは、「福祉」か?
障害のある女性をアダルトビデオや風俗業に紹介することを仕事にしている男性(精神疾患、作業所経験あり)は、自分の仕事を「慈善事業」だと主張する。「障害者を施設に入所させ、売れないパンやクッキーを焼かせ、ガラクタをつくらせ、時給は100円以下では『福祉』とは言えない。AVでも風俗でも、自分で稼いで好きな暮らしをさせる方が『福祉』だ」という主張に、自分が特別支援学校の教員だったとしたらどう答える?

参加者からの意見
・「時給100円以下の作業所」と「AV・風俗」という極論対局極論になってしまっている。普通に就職するという道を考えられないか。
・男性本人の精神疾患も問題

坂爪氏のコメント
軽度知的障害者などの場合、学校を出た後、社会に居場所がないということが根本的な問題。福祉を受けた経験のある人の中には、福祉を“敵”と思っている人もいるため、この男性自身も被害者といえる。また、アダルトビデオ出演や風俗業というのは、継続的な仕事とは言えないため、福祉とは言えないだろう。男性が「女性を助けている」と思っている論理を覆すような反論を返すことはできるのでは。

どのケースも考えれば考えるほど、深く、難しいものばかりでしたが、具体的なケーススタディを用意していただいたおかげで、
抽象的な「綺麗ごと」に終わらない、自分自身のセクシャリティに映しこんだ議論が出来たと思います。
そこに見えるのは、自分自身の「性」の捉え方であり、障害者に対する差別性であったり、普段直視することをさけてきた自分の姿だったのではないでしょうか。
そういう、直視することが辛い、できれば、無いことにしてしまいたい「性」の問題を「個人」の問題やプライバシーだと片付けると、
社会の表層から見えなくしてしまいます。
見えないところで、障害者と家族が孤立させられ、ある日、悲惨な事件に繋がり、個人の問題と隠されてきた「障害者の性」の問題が、本当は「人と人の繋がり」の問題であると気づくのでしょう。
そんな悲劇を繰り返さない為に、ホワイトハンズのような「人と人の繋がり」をサポートする存在が必要なのだと思います。
しかし、本来それは、福祉の役割だったのですが、前回の山本譲司さんのお話や、今回の事例の中にもあったように、現実の福祉は実社会から対象者を「保護」の名のもとに隔離し、むしろ「見えない存在」にしてしまっているように思えます。
今回のワークショップが、障害者の性の問題を、福祉や誰かに押し付け、個人の問題として片付けずに、自分ごととして考える機会になれば幸せです。

終了後の懇親会も18名の方が参加してくださり、会場近くの「串まんま」にて、大変盛り上がりました!


ブログ紹介

ホワイトハンズ開発日誌 坂爪真吾さんのブログです

LUPOのパワー全開な日々 メディ・カフェ第一回のスピーカーのお一人でもあった産婦人科医宋美玄先生も参加、後日ブログに感想を書いていただきました!

当日のメディ・カフェの様子がスカパー!で放送されます!

スカパー!テレ朝ch2「ニュースの深層http://www.tv-asahi.co.jp/ch/contents/news/0003/
301「障害者の『性』を介助する」ゲスト:坂爪真吾(一般社団法人ホワイトハンズ代表)
06/11(火) よる08:00-よる09:00
06/12(水) 午後01:00-午後01:54
06/15(土) あさ06:00-あさ07:00
ぜひ、ごらんください!