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『振り回され続けた母乳育児 』妊娠・出産・育児に関する悩みあれこれ。-育児編その1- 

なかなか大変な思いをした出産でしたが、そんなことどうでもよくなるぐらい、生まれてからの育児の方が大変です。
今回からは、育児で直面した悩みや不安、納得いかないことについて書いていきたいと思います。<母乳育児>
最初にぶち当たった壁は、ご多聞に漏れず母乳育児でした。
私が出産した病院は母乳推進ではありましたが完全母乳推進というわけではなかったので、無理なくミルクを足しつつ、母乳育児がスムーズに行えるように指導するという感じでした。
ただ、十数名いる助産師さんの中にはやはり、完母推進の方もおられ、その人が当直の時の夜間授乳は私にとっては地獄でした。

私の娘は大きく生まれたせいか、生まれたばかりのころから、お腹いっぱいになるまで満足せずに泣き続ける子でした。
産後すぐの私の母乳分泌量では到底足りず、時には1時間近く吸わせていても口を離すと泣きだし、授乳後にミルクでお腹を満たせば落ち着いて寝る、といった感じでした。
ところが、完母推進の助産師さんにあたってしまうと、ミルクの神通力をなかなか使わせてもらえません。
「母乳十分に出てるから、根気よく飲ませてみよう」
「母乳がしっかり出始めるのは、飲み始めて15分以上経った後やから、最低でも30分は授乳してね」
「この時期30分おきの授乳なんて当たり前よ。もうちょっと頑張ろう」
こんな感じでした。

一回の授乳につき、だいたい1時間前後は授乳室にいたと思います。
そして何とか寝たなと思って病室に戻っても、環境の変化もあるのか、ものの数分で起きてまた泣き始めるので、また授乳室へ逆戻り。

余談ですが、今書きながら「なんでそこまでして授乳室へ移動してたんやろ。もう移動せんとずっとベッドの上におったらよかったのに」と思ったのですが、しばらく考えて思い出しました。
今でこそどこででも授乳できるようになりましたが、産後すぐは変な体勢で授乳すると帝王切開の傷も痛いし、何より赤ちゃんをうまくホールドできなかったので、病室のベッドの上で授乳するのは、私には難易度が高かったのです。
それから、病室にこもってひたすら授乳してみたこともありますが、とにかく気が滅入りました。
授乳室に行けば、顔見知りになった授乳仲間がいて、冗談の一つも言いながら授乳できるので、睡眠不足のストレスも多少紛らせることができたのです。

自分が体験したことでも、こうやって時が経てば「なぜそこまで追い詰められていたのか」と不思議に思うものですから、体験していない人や体験から時間が経った人が、今リアルタイムでつらい思いをしている人を理解するのが難しいのは当然ですね。

閑話休題

前述のとおり、完母推進の助産師さんにあたると、夜はほとんど寝られませんでした。
明け方近くなってフラフラになった頃に、そろそろ限界かなという感じで、
「やっぱりあかんかったかー。ふみさんやったらいけるかなと思ってんけどなー」
などと言われながら、ミルクを作ってもらいます。
それを娘に与えると、やっと落ち着いたという顔ですやすやと眠り始め、数時間まとめて眠ってくれました。

一方で、入院中に救われたのは「無理せずミルクを足したらいい」と言ってくれた助産師さんの存在でした。
その人は
「3時間おきって言っても、授乳時間が長くなったら睡眠時間がどんどん削られるやろ。だから授乳時間は30分以内にせな、しんどいよ」
「あんまり授乳時間が長いと赤ちゃんも疲れてしまうからね。片側10分ずつで20分、それで足りないようならミルクを足したらいいのよ」
と言ってくださったのですが、この人の言葉に私は本当に救われました。
無理しないことを勧めてくれるのもありがたかったのですが、「睡眠時間が削られるとしんどい」ということを分かってくれる、そこに共感してもらえるのが何よりうれしいことでした。

入院中からこのように振り回され続けた母乳育児ですが、退院してからも引き続き右往左往の連続でした。
特に、退院後は助産師さんに気軽に相談できるわけではないので、情報を求めていろいろと調べて回るのですが、これがとにかくいけませんでした。
次回はこのことについて触れたいと思います。